司法書士って何する仕事? ナビメニュー 戻る 進む

司法書士の仕事

 「司法書士って、何をする仕事なの?」とよく訊かれます。一般の方が司法書士と触れ合う機会はあまりありませんから、その実態もあまり知られてはいません。ハッキリ言ってわかりにくいです。
 かく言う私も、実は「何をする仕事?」と問われますと説明しにくくて困っています。細かく言い始めるとますます伝わりにくいので「土地とかお家とかの権利証を作る仕事です」とか「会社をつくったり(設立登記)会社の変更登記をしたりする仕事です」とか「裁判所に出す書類を代わって書く仕事です」とかシチュエーションに合わせてザックリ答えています。以下、仕事を依頼なさるお客様が司法書士の仕事についてなるべくイメージが湧きやすいようにザックリと書いていきたいと思います。


「土地とかお家とかの権利証を作る仕事です」(不動産登記)

 外を歩いていますと沢山のお家や土地が目に入ってきます。私は商売柄、時々なんだかちょっとコワイ気分になります。といいますのも、遠くに見えるキレイな山も、季節ごとに野の花が咲くたんぼの畦道も、誰のものでもない自然の風景のように見えて、実は全てが誰かの持ち物だからです。見渡す限り、目に見える全ての建物、全ての大地に所有者がいるわけです。一続きに見える大地が実は細かく細切れになっていてそれぞれに所有者がいる。なんかコワくないですか?


【1 不動産登記簿ってなんだろう】
 それはさておき、では、それらの建物や土地は誰のものでしょう。どうやったらわかるでしょうか。建物なら表札に名前を書いておくことも出来ますが、土地に名前を書くのは困難です。そこで、土地、建物などの不動産のすべてを登記所というところで管理されている不動産登記簿というものに、番号(不動産番号や、土地なら所在&地番、建物なら所在&家屋番号)で特定し、その持主の名前が書いてあるのです。これを見ると「どこそこの何番の土地は誰の物」とか「どこそこの家屋番号何番の建物は誰の物」ということがハッキリ記載されており、誰にでもわかるという仕組みになっています。
不動産登記簿、現在事項証明書 では、登記簿とはどんなものでしょうか。数年前まではその名のとおり、紙で作られたごつい帳簿(バインダー)でしたが(ブック式登記簿といいます)現在、富山県内の登記簿はすべてデジタルデータ化されており、原本はデータとして法務局(登記所)で管理されています。その中身を知りたいときは、誰でも登記簿データの写しである証明書を申請することができます。左の写真は建物の登記簿データの写し、現在事項証明書というものです。
 不動産の登記簿は【表題部】【権利部(甲区)】【権利部(乙区)】という3つの区に分けられています。
 【表題部】には土地であれば所在、地番、地目(宅地、田、畑などの種類)、地積(面積)が書かれています。建物であれば、所在、家屋番号、種類(居宅、事務所などの種類)、構造(木造かわらぶき2階建などの構造)、床面積が書かれています。つまり【表題部】はその不動産が物理的にどういった物かについて書かれている部分です。
 一方【権利部(甲区)】には、当該不動産の所有者の住所氏名(会社の場合は商号本店ですが、以下まとめて住所氏名と書きます)が記載されており、ここを見ると当該不動産が誰の持ち物かわかるようになっています。また【権利部(乙区)】にはこの不動産についている所有権以外の権利(抵当権や根抵当権などが多いです)の権利者の住所氏名とその権利の内容が書かれており、それらの状況がわかるようになっています。


【2 司法書士は何をする?】
 司法書士は、この登記簿の【権利部(甲区)】に所有者を書き込む登記申請や【権利部(乙区)】に権利者や権利内容を書き込む登記申請、その他権利部の変更、抹消などの登記を本人さんに代わってやる人です。
 この権利部の登記をまとめて「権利の登記」などと言いますが、この権利の登記を申請しますと、登記簿に所有者または権利者の住所氏名が書き込まれると同時に、この登記をしましたよという証明書である「登記済証」というものが交付されます。これが所謂、「権利証」というもので、後々当該不動産が本人さんの持ち物であるという証明書になるのです。時々ドラマや映画などで悪い人がコレを持ち出し悪用するシーンなどを見かけますが、その場合にはわかりやすいように「土地権利証」などど大きな文字で書かれていること多いですね。
 このように司法書士はお客様の「権利の登記」を代理人として申請し、登記簿にキチンとお客様の正しい住所氏名が書き込まれたことをチェックして(登記簿に実際に書き込む人は登記官という登記所の人です。司法書士は登記官の書き込んだ内容が自分の申請した内容と間違いがないかを確認します。登記官も人ですし毎日大量の仕事をこなしていらっしゃるので、時々間違っている事もありますから、ここでしっかりチェックするのも大事な仕事です。中には杜撰な司法書士もいますが・・・)、登記済証=権利証を受領し(これも、もちろんチェックします。間違っていることが時々あります)お客様にお渡しするという仕事をします。そんなわけで伝わりやすいかなと考え「土地とかお家とかの権利証を作る仕事です」と答えているのです。

【3 権利証が無くなる?!「登記識別情報」って何だろう?】
登記識別情報  ところで、今、権利証と言いましたが、ややこしいことに権利証は現在徐々に廃止されています。富山県内では、平成18年2月27日に本局・高岡支局、同年7月31日に砺波支局、平成19年5月28日に富山南出張所、同年7月23日に魚津支局、同年12月3日(予定)には射水出張所で権利証が廃止され、結果、平成19年12月3日以降、富山県内全登記所で権利証が廃止されました。そして、その代わりとして「登記識別情報」というものが通知されることになりました。右の写真がその「登記識別情報通知書」というものです。このA4の用紙の下の濃い緑色のシールを剥がすと登記所からランダムに発行される「12桁の英数字による暗証番号」が記載されており、この暗証番号が従来の権利証の代用となるというシステムです。
 しかし、この「登記識別情報」には従来の権利証とは大きく異なる問題があります。すなわち、権利証は「物」であった為、この世にひとつしか存在せず(つまり盗まれれば無くなるのでわかる)、また本物か否かなども目で見て判断出来ました。ところがこの「登記識別情報」の本体とは「12桁の暗証番号」です。別にこの通知書が唯一の「物」ではないのです。従って、「12桁の暗証番号」が一度他人に見られてしまえば、誰と誰が持っているか、どこにあるのか全くわからなくなってしまうのです。そしてさらに困ったことには、登記所から通知された時点で有効か否か(権利証で例えるなら、権利証が正しいか間違っているか)を確認するすべがないのです。シールを剥がしては人に見られてしまうので剥がすことは出来ず、中は誰も確認できません。仮に思い切って剥がしたとしても、そこに書かれているのは、登記所が勝手にランダムにつけた英数字の羅列です。銀行のキャッシュカードの暗証番号のように本人さんが合っていると判断できるような代物ではありませんから、見たところで正しいかどうかわかりません。登記識別情報、開封防止実際、一部他県では、システム上のバグから最初から間違った「登記識別情報」が多くの人に交付されてしまい、回収するとういうトラブルも発生しました。
 現在、この「登記識別情報」システムに関しては様々の見直しや修正意見が出されている最中であり、今後もシステムの変更が予想されます。
 当事務所では、お客様に、このように扱いにくく未だ発展途上の「登記識別情報」システムの危険性を理解し安全に取り扱って頂ける様、充分ご説明申し上げています。また「登記識別情報通知書」のお渡しに当たっては、万が一開封されたときにハッキリわかるように専用の透明封筒に開封防止シール(開封されると、銀色の文字で開封のマークが現れます)で封緘し、厳重に封印してお返ししています。



「会社をつくったり(設立登記)会社の変更登記をしたりする仕事です」(商業登記)

【1 自然人と法人】
 私は生まれたときから、人でした。本当はパンダに生まれたかったのですが、それはさておき。私のように生まれながらにして人としての権利を持っている者、すなわち人間を「自然人」と言います。自然人は何もしなくても権利を持つことができます。不動産の名義人にもなれますし銀行の口座も作れます。
 では人が集まってグループで事業をする際にはどうでしょう。勝手に「カトウぱんだグループ」などと名乗っても不動産の名義人にはなれませんし、車の名義人にもなれません。このような場合には「法人」とういう「人」になると、自然人と同様に法人の名義で権利を持つことが出来るようになります。
商業登記、現在事項全部証明書
【2 法人と商業登記簿】
 では、どうしたら法人になれるのでしょうか。
 会社は設立の登記をした時点で「法人格」を持ち「人」になれます。この会社が登記されている登記簿を商業登記簿(右が商業登記簿の写し=現在事項全部証明書というものです)といい、法人の住民票あるいは戸籍のような役割をしています。
 会社は何も無いところから登記をすることによって初めて「人」になれるので、会社の登記は極めて重要です。そしてその内容は会社の名前(商号)や住所(本店)にはじまり、会社の目的、資本金、株式の詳細、役員、代表取締役の氏名住所と詳細な記載を要し、さらにその登記内容に変化が生じた場合、2週間以内に変更登記をし、常に現状を正確に表しておかなくてはなりません。これは、登記によって「人」となった会社を、第三者が知る最も基本的な手段が商業登記簿だからです。会社を相手として取引をする第三者は、相手方の会社の商業登記簿を見れば、その実在と内容を把握することが出来、よって安心して取引が出来るという仕組みになっているのです。


【3 司法書士は何をする?】
 司法書士は、この会社の登記の申請を代理します。設立登記をはじめ、増資や本店の移転、目的の変更など様々な登記を、会社法、旧商法、旧有限会社法、商業登記法並びにそれに付随する多くの法令、先例、通達に基づいて、無駄のないキチンとした登記手続を代理します。
 当事務所ではお客様の希望される登記を、法令を遵守しつつ、一番簡単に、かつ迅速に行えるよう勤めています。また、オンライン申請にも対応しておりますので、電子証明書をお持ちで、書類のやり取りをネットで行い、よりスピーディーに登記をしたいとお考えの会社様にもお役に立てることと存じます。


「裁判所に出す書類を代わって書く仕事です」(裁判事務)

 そのまま、裁判所に出す書類を本人さんに代わって書く仕事です。
 弁護士さんは本人さんに代わって裁判所に出頭し、本人さんの代わりに喋ってくれ、時には本人さんが有利になるように本人さんの思っていないことまでも戦略をたててやってくれます。
 一方、司法書士の場合は、あくまで主体は本人さんであり、本人さんの言い分をじっくり伺って気持ちを汲み取り、より伝わりやすい、わかりやすい書面にするということを仕事にしています(司法書士によってスタンスの異なるところではありますが、私はこのように解釈しています。)。
 現在、司法書士の中には簡易裁判所において訴訟代理人(弁護士さんと同じく法廷に立って本人さんになりかわって発言できる人)となれる資格を有する通称「認定司法書士」という者が存在します(不肖、私も・・・)。この者は簡易裁判所において訴訟代理をしたり、簡易裁判所の管轄に属する事件(訴額140万円以内)の示談交渉なども仕事としています。



【WEBの片隅で小さな声でつぶやいてみる私のひとりごと(おまけ)】

「国家試験による資格制度に規制緩和?それって却って不便になりませんか?」
 以下は、私の最近の士業のあり方に関する疑問と苦言です。皆様が士業に仕事を依頼するにあたって、何かの参考になればと思い書かせて頂きますが、先を急がれる方は読み飛ばして下さい。
 さて日本の士業は元々それぞれが専門性が高く、それゆえに業務範囲が細分化されていました。しかし、近年の規制緩和の波にのって各士業の政治団体が政治力にものをいわせて縄張り争いを激化させているために、その境目は希薄になりつつあります。実際、世の中に堂々とまことしやかに流れている情報の中にも、法的にはグレーなものも多くあります。はっきり申し上げますと全く専門的知識もない、また法的にもその業務を行えない無資格者が他士業の仕事を受注したりしている実態があります。そんなことっていいの?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、その違法か合法かグレーな状況を積み重ねていくと「実績がある」というプラスの言い訳になり、訳もわからないうちに法律が改正され何の知識もない人々に資格が与えられるのです。
 私は、資格制度というものは、その専門的技能を国が認めることにより、一般の方が「この仕事はこの資格者に頼めば一定の安定したサービスを受けることができる」と判断できる指標となるものだと考えていました。だからこそ公正に専門的知識と技能を担保するための国家試験があるのだと。
 ところが、この業界に入ってわかってきたことなのですが、実際は先に書きました通り、結局は政治力なのです。専門的知識や技能がなくても政治団体が強ければ、政治家を動かして法律を変える事によって、何も知識もない無資格者が他の士業の仕事が出来るようになるのです。これには本当に呆れました。自分の独占業務を増やしたいなら、勉強して国家資格をパスしてそして実務を学べばいいのです。何の努力も実力も無しに政治力で資格が得られるということでは、資格制度そのものが根底から覆されてしまいます。実際今まさにそのような事態に陥りつつあります。これでは、一般の方は何を信じたらいいのかわかりません。


 規制緩和に波乗りをして、日々縄張り争いを繰り広げている各士業(恥ずかしながらもちろん司法書士も含まれますが)の現状を目の当たりにしている私は「結局どの業界も自分の利権を守り、拡大することに必死なのね〜」とかなりうんざりはしていますが、ただコレだけは言いたいのです。
「餅は餅屋」なのです。専門的知識も技能もない「餅屋」でない人に、一般の方が間違えて「餅」を注文し、マズイお餅を高い値段で買わされるような事態は避けなくてはなりません。
 細分化しすぎてわかりにくいとの批判も多い日本の士業ですが、それゆえに本来の業務範囲においてはエキスパートです。美味しいお餅を適正な価格で提供できるのです。
 私は、日本のまともな政治家の皆様にお願い申し上げたい。自分の支持団体の言いなりになって票稼ぎのために国家試験による資格制度を根底から覆すような、各士業の縄張り争いにのっからないで下さい。このままでは、政治力の戦いのせいで日本の資格制度は何の意味も持たなくなってしまいます。
 お役所は規制緩和により国民が便利になるとおっしゃるが、資格制度に関しては嘘でしょう。エキスパートでない人に業務資格を濫発して、それで迷惑を被るのは、資格制度を信用する一般の依頼者です。結果、訳のわからない人をエキスパートだと信じ込んで仕事頼んでしまって、マズイ仕事に高いお金をとられる危険性が高まる訳ですから。
 そして、ここまで無駄話を長々と読んでくださった皆様には、どうか士業に仕事を依頼なさるときは、慎重に本物の「餅屋」を見極めて頂きたいと願います。この先、小泉さんの置き土産の規制緩和とそれにのっかって馬鹿な縄張り争いを繰り広げている各士業の政治団体のお陰で、巷にはますます偽者の「餅屋」が溢れかえることでしょう。私自身もこの先、他士業の方にお世話になることがあると思いますが、どの仕事をどの人に依頼するのが適切なのか慎重に見極めていかなくてはならないと思います。私は何より正直な方、誠実な方がいいなぁと思います(そして利権にまみれていない国家試験組の若手)。正直な方であれば、自分がその分野では本物の「餅屋」ではないときには、もうけに走らずきちんとその旨を言ってくれるはずです。そしてさらに親切な方なら本物の「餅屋」を紹介してくれるでしょう。
「えっ?正直な人かどうかわからないから困るんじゃないか」とおっしゃいましたか?あ、やっぱり。私もソコが難しいなぁと思ってました・・・。